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先進医療特約って本当に有効なの?

      2015/05/11

最近、保険会社の広告で「先進医療特約」という言葉が盛んに謳われています。

健康保険適用外の最先端の治療を受ける場合に、最高1,000万円(会社によって異なります)までの保証が受けられるということで、一般消費者からの人気は上々です。

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また保険料が毎月100円前後とリーズナブルなところも人気の秘密でしょう。

しかし、実際にこの特約によって保険金が支払われるケースは私が働いていた頃は、少なかったように思います。

保険会社が支払いをしなかったわけではなく、そもそも先進医療を受けた契約者があんまりいなかったのが原因です。

先進医療特約を付加している人たちも、「どうせ医療保険に入るなら、この特約は安いしなんとなく安心なので付けておこう」という方がほとんどです。

先進医療というのが、どんなものなのかをしっかりと理解したうえで付加している方は、あまりいらっしゃらないのではないでしょうか。

実は、先進医療特約は保険会社がお勧めしているほど、使える特約ではなかったりします。

先進医療特約を理解するために、ちょっと調べてみましょう。

先進医療には、厚生労働省のホームページに記載があるとおり、約100種類の治療法があります。

これらは健康保険が適用されない最新の治療方法で、指定の病院のみで受けられます。

この「指定の病院」という点が、先進医療を受ける方が少ない第一の理由です。

治療によっては、全国で数箇所の病院しか対応していないものもあり、遠方の方がその治療を受けるのが難しい、ということは容易に想像できるでしょう。

また治療を受けるためには、細かな条件をクリアしなければならないものも多く、実際に先進医療を受けるところまでたどり着くには、かなりのハードルを越えていく必要があるのです。

例えば、先進医療として多くの方がイメージする「重粒子線治療」を受けた人数は、23年度の実績によると日本全国で873人だけです。

先進医療特約の保険金が支払われるケースが少ないのもうなずけますよね

では上記のようなハードルを乗り越え、実際に先進医療を受けた場合は、いったいどれくらいのお金がかかるのでしょうか。

先進医療の中でも、特に金額が高いのは「重粒子線治療」の約300万円と、「陽子線治療」の約500万円で、それ以外の治療はほとんどが数十万~数万円です。

ちなみに「重粒子線治療」は、一度300万円を支払うと完治まで何度でも受けられます。

つまり、特約の最高額1,000万に達する可能性は、ほとんどないですし、多くの先進医療は、家計の蓄えの範囲内でなんとかなるわけです。

これらの事実から考えると、先進医療特約は、そもそも該当するケースに遭遇する可能性はかなり低く、また該当したとしても数百万の保険金が支払われる治療はあまりないということになります。

ここから考えると、先進医療特約はそれほど万能な特約ではなく、保険会社のセールスの口実という見方もできるのではないでしょうか。

特約保険料が100円前後の安価で提供できるということは、裏を返せばほとんど支払うことがない証でもあるわけです。

先進医療特約は、あくまでお守り程度として考えておくのが良いのではないでしょうか。

 - 元職員が語る生命保険の裏話

Comment

  1. むとう おさむ より:

    こんにちは、先進医療特約の必要性についてなのですがたかだか数百円で万が一の保障なら良いのかなって思いました。

    もし先進医療を受けた場合の点でお医者さんに前払いしなくては受けられない点や健康保険の高額療養制度適用外である点などにもふれた上での100円かなと。

    保険はもともと相互扶助なので掛け捨てても、誰かの保険金になるので先進医療の特約は自分が医療を受ける際の選択肢を狭めたくはないですよね。

    なかなか受けられないのは、お医者さんを選べないからだと教えてあげてください。実際はセカンドオピニオンを有効に使うことで対応できますよ。

  2. 匿名 より:

    同感です。先進医療は安価な特約でもしもの時に何百万という自己負担をカバー出来ます。
    ただ、せっかく保険で用意していても、主治医に切る手術を勧められて言われるがままになってしまうことが多いのではと思います。もしもの時にはどんな治療がどこで受けられるか調べて保険に付けてるならどう使えるか調べないと付けてるだけでは意味がないと思います。

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